心がざわつく季節
間もなく妻の13回忌の日を迎えようとしています。この季節になると思いが強く募ってきます。
ある夕方、妻の病室を出た後で医師から「これからのこと」の話を聞かされていよいよ覚悟を決める日が近づいていることを知りました。毎日見ている妻の様子から、薄々は感じ取っていましたが、それが急に現実味を増してきたことを感じていました。
12月に緩和ケアに入院した時には、一時は表情も明るくなり元気も出てきたように思えたのですが、1月に入ると、病室から帰る私を見送って一緒に歩いてくれる距離が次第に短くなっていき、顔にも黄疸の色が出てくるようになっていました。
そしてついには、病室で別れるようになっていきました。
病院から自宅までは歩いて帰ることも多く、その日もとぼとぼと帰路についていました。交差点でクラクションが鳴って、ハッとして顔をあげると、知り合いの方でした。目礼を交わして通り過ぎたのですが、後日その方から「私に気づいて笑顔を作ってくれたけど、その前の顔は今にも泣きだしそうな顔だったよ。奥さんはそんなに悪いの?」と言われました。
待ってくれる人もいない一人暮らしの自宅は、深々と冷え切っていて、電気もついていない真っ暗な部屋でした。愛犬のユリだけが、お腹を空かせて夕食と散歩をせがんでくれます。そのことがとても大切で嬉しかったこと。ユリが居てくれたことが勇気になった日々でした。そのユリも一昨年18歳という高齢で旅立ちました。
そして、間もなく命日が来ます。
まさに走馬灯のようにいろんな思いが湧き出てきます。
私にとって1月は、悲しく辛い季節です。