第2章を始める前に
ある時妻がぽつりと言った言葉があります。それは
「私は貴方によって生かされる」という言葉です。
その時は意味が判らず、聞き返しも出来なかったのですが、
こうやって思い出を綴っていてその意味が判るような気がします。
ここまで、妻との最後の約3年間の思い出を書き綴って来ましたが、
こうやって書き綴っている時には
その時々の妻の顔や息づかいまでもが蘇って来ます。
妻が言っていた「生かされる」という意味ではないのかもしれませんが
ここに記憶として妻は生きているような気がします。
時間が全てを解決するという言葉があります。
いろんな場面でよく使われる言葉です。
周りの方々も「もう一人に慣れたね」と声をかけて下さいます。
しかし、妻を亡くした悲しみは薄らぐことはあっても消えることはありませんし
ましてや慣れることもありません。
遺族の心には、深く悲しい傷が何時までも残っています。
しかし、何時までも悲しんでばかりいるわけにもいきません。
私も生きていかねばなりませんし、
私が悲しんでばかりいたら、妻も辛いと思います。
第2章では、妻が亡くなってか一周忌までの、私の思いや出来事を綴っています。