りんどうの会~がん患者遺族の会・佐賀~

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五周年記念講演から(第7回)

2017/10/31

第7回 (体験談 CKさん)

 私が皆様方にお伝えしたいことは、「グリーフケアは患者は勿論、患者の家族、・遺族にとっても大切である。グリーフケアのためには、ありのままの感情を安心して出し、気持ちを分かち合える人と場所が必要だ」ということです。

 私の夫は、娘が3ヶ月の時に大腸ガンと診断され、3歳になる直前に亡くなりました。夫が亡くなって10年が過ぎ、家族・親族・周囲に助けられ、私は看護師になりました。幼かった娘も現在中学1年生になり、子育てをしているというよりは、娘に支えられていることの方が多い日々です。

 私が「りんどうの会」を知ったのは、がんの父親を持つ娘の育て方をどうすればよかったのか、看護師として働く上でも、子育てを振り返り、新たな出発点にしたいと考えていた時でした。振り返れば、夫の介護が中心となり、夫が亡くなってからはすぐに働き始め、娘の世話は保育園や祖父母に任せっきりになっていました。すぐに働いたことは、私にとっては気が紛れて良かったと考えています。しかし、娘が抱っこをせがんできても、「今、忙しいから後でね」とすぐに対応することがなく、十分な子育てをしてこなかったことを後悔していました。そのような中、がん患者の子どもの支援にも「グリーフケア」があり、子どもの支援のためにも、がん患者の配偶者、遺った親の支援が必要であることを知りました。そして、佐賀にも遺族を中心として活動しているセルフケアの会:「りんどうの会」があることを知りました。

 りんどうの会に初めて訪れた時、私は軽く自己紹介するだけのつもりでした。しかし他の会員の自己紹介で様々な思いを聴いていると、自分と共通・共感することがありました。初対面にもかかわらず「私のことも聴いてほしい」と思いました。例えば「どうしてがんに気づけなかったの?」「何か症状はなかったの?」との周囲の言葉に自分を責めたこと。「今は辛いけど、時間が必ず解決してくれるから」「思ったより元気で安心した」「気持ちはわかるよ」「大変だったね」等の思いやりの言葉さえ卑屈に感じてしまったこと。「泣いたら駄目、心配かけたら駄目」と感情に蓋をし、前に進むことだけを考えてきたこと等を、堰を切ったように話してしまいました。涙が止まらなくなり、たくさん涙を流した後は、気持ちが楽になり、本当は誰かに自分の辛い思いを聴いて欲しかったことに気づくことができました。

 同じような経験をした遺族のりんどうの会の皆さんに共感しながら、聴いてもらうことで安心して話せたように思います。そして、娘や夫に対して、これまでは何もできなかったとばかり考えていましたが、その時にできることを精一杯やってきたのだと思えるようになりました。

 10年が過ぎても、寂しさがなくなったり、夫を忘れたわけではありません。思い出すと辛くなることもあります。けれども、思い出すことは自分の気持ちの整理に繋がり、生活に楽しみや生きがいを見つけるきっかけになってきたと考えます。そのためには、安心して話せる人と場所が必要です。その安心できる人と場所が「りんどうの会」です。

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