りんどうの会~がん患者遺族の会・佐賀~

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レクイエム

妻に捧げるレクイエム=47=

2014/04/29

秋風

親父の一周忌が終わると、お寺関連の行事も一段落して

少しほっとした気分になった。

しかし、そろそろ秋風が吹き出す頃から

義父さんの容体が日一日と悪くなり始めた。

 

義父さんの死

車椅子バスケット大会が終わっての帰り道で

義父さんが入院している病院から電話があった。

兎に角病院に駆けつけたけど、お父さんは苦しそうだった。

親戚の方々も帰った午後8時47分に

義父さんは僕と病院の方に見守られて、君の所に旅たった。

妻に捧げるレクイエム=46=

2014/04/26

初盆

初盆は、君と親父と二人分を一緒にしなければならなかった。

でも、圧倒的に君へのお参りが多かったかな。

親父には悪かったけどそう思ったよ。

沢山のお花と、使い切れないくらいの線香が届いて

ちょっとビックリだったよ。

 

父の一周忌に

初盆が終わると直に親父の一周忌だ。

本当に息をつく暇もないほどに続いたね。

子ども達も帰って来てくれて助けてくれたよ。

思えば、1年前には、まだ君は元気でいてくれて

僕を助けてくれたんだよね。遠い昔のようだ。

妻に捧げるレクイエム=45=

2014/04/23

義父さんのこと

義父さんのことも言っておかないといけないね。

義父さんは君の49日が終わった頃から

体調を崩して入院してね、

肺がんも進行して辛そうだった。

でも、100歳の誕生日にはみんなが病院に集まって

お祝いをしてくれたよ。

 

初盆

初盆は13日からだけど

10日頃からお参りの方々が増え始めた。

時間もバラバラで、待機する時間の長さに

子ども達も疲れていたみたいだった。

早朝から夜まで、一日が終わる頃になって

やっと自分たちの時間が取れたかな

 

妻に捧げるレクイエム=44=

2014/04/20

君の誕生日に

君の誕生日だった日には、みんなが家に集まってくれて

ホームパーティーを開いたんだよ。

君の同級生のKさんも来てくれ、歌を歌ってくれたよ。

聞こえたかな?

みんなで君の事を話しながら時間を過ごしたんだ。

楽しい時間だった。

 

メモリアルリング

そんな言葉があるかどうか知らない。

ある日仏壇に向かっていた時に君の残した結婚指輪が目に入った。

僕の薬指にも結婚指輪が。ふっと思った。

この二つの指輪を一つにしようと。

今僕の指には一つになった二人の指輪がある。

妻に捧げるレクイエム=43=

2014/04/17

法要

君も父の法要で経験したと思うけど、

浄土宗では七日七日の法要に加えて、初命日、55日、100ヶ日と

息つく暇がないように続く。

でも、その法要に追われている時は淋しさが薄れていて

一緒にお経を読む時には心にはただ君だけがいた様な気がする。

 

結婚記念日

100ヶ日が終わると、君との結婚記念日が直ぐそこにあった。

1年前に君と言ったレストラン、君と結婚を決めたレストランで

君と食べたメニューを注文したけど、マスターから

「奥様は今日は一緒ではないのですか」と聞かれて

どうしようもない淋しさに襲われて、涙を流しながら食事をしたよ。

妻に捧げるレクイエム=42=

2014/04/14

葬儀

昨夜からの雪は朝早くには止んで、

葬儀が始まる頃には日も照ってきて、行きも溶けたのでホッとしたよ。

沢山の花と友だちに見送られて君には最後のドライブになったね。

耳の奥に、スピッツの「楓」がリピートされて響いた。

 

感謝

本当に多くの人が君を見送りに来てくれたよね。

今でも君の事を思って訪ねてくれる人がいる。

君は多くの人の心にしっかりと生きているんだね。

僕はそのことに感謝するしかない。

君に代わって「ありがとう」としか言えないよ。

妻に捧げるレクイエム=41=

2014/04/11

家を出る時

君は2日間を自宅で過ごした。

何も語らないけど、そこに君がいるというだけで

淋しさや悲しさが違った形に見えていた。

子ども達も君を見つめながら何かを語りかけていたと思う。

君が家を出る時、僕は何を感じていたのだろうか。

 

通夜

君の通夜は一面の雪景色。

しんしんと降り続く雪の中にも拘らず、多くの人が来てくれたよ。

息子が編集してくれたスピッツの曲を流しながら

静かに静かに過ぎていったよ。

きっと君も何処かで聞いていてくれたよね。

 

写真 5

妻に捧げるレクイエム=40=

2014/04/08

息子の帰宅

夜の12時過ぎに息子は帰って来た。

無言で君の前で手を合わせていたよ。

何も言わなかったけど、本当に辛い帰宅だったと思う。

何かを話したと思うけど、よく覚えていない。

君と僕と子ども達だけの最後の夜だった。

 

君の願い

君が子どもに託した最後の願いは

息子には君を送る曲の選曲と編集。

娘には君の棺に入れる服の選択。

僕に託されたのは・・二人だけの秘密だね。

でも、安心して下さい、君の願いはちゃんと守られたよ。

妻に捧げるレクイエム=39=

2014/04/05

荷物

40日を越える入院で、いつの間にか荷物も増えていたね。

娘と二人で車に積み込むのに何度も往復したよ。

そんな時にYさんが駆けつけて来てくれたよ。

Yさんの顔を見た時に始めて涙があふれ出してしまった。

Yさんも大泣きしていたよ。

 

無言の帰宅

君は夜の9時過ぎに自宅に帰って来た。

リビングの正面に君の場所を作ったよ、驚いたかな。

君は安らかで、本当に眠っているような顔をしていたね。

声をかけたら目を覚ましそうな君だった。

妻に捧げるレクイエム=38=

2014/04/02

事務的に

そして死という事実が決まった以上はどうしようもなく、

いろんな事が事務的に進んでいくんだね。

判ってはいるんだ、そうしなきゃ何も先に進まないってこと。

しかも僕がしなきゃいけないんだ。

辛い現実だね。

 

悲しみの波紋

君の死は親戚、友人にも伝えなければならない。

何処かに冷静な自分がいてしっかりと指示を出している。

電話をして君の死を告げる時

うそでしょ、どうして・・と皆が泣いてくれたよ。

本当に、みんなが君の事を好きだったんだね。

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