妻に捧げるレクイエム=47=
2014/04/29秋風
親父の一周忌が終わると、お寺関連の行事も一段落して
少しほっとした気分になった。
しかし、そろそろ秋風が吹き出す頃から
義父さんの容体が日一日と悪くなり始めた。
義父さんの死
車椅子バスケット大会が終わっての帰り道で
義父さんが入院している病院から電話があった。
兎に角病院に駆けつけたけど、お父さんは苦しそうだった。
親戚の方々も帰った午後8時47分に
義父さんは僕と病院の方に見守られて、君の所に旅たった。
秋風
親父の一周忌が終わると、お寺関連の行事も一段落して
少しほっとした気分になった。
しかし、そろそろ秋風が吹き出す頃から
義父さんの容体が日一日と悪くなり始めた。
義父さんの死
車椅子バスケット大会が終わっての帰り道で
義父さんが入院している病院から電話があった。
兎に角病院に駆けつけたけど、お父さんは苦しそうだった。
親戚の方々も帰った午後8時47分に
義父さんは僕と病院の方に見守られて、君の所に旅たった。
初盆
初盆は、君と親父と二人分を一緒にしなければならなかった。
でも、圧倒的に君へのお参りが多かったかな。
親父には悪かったけどそう思ったよ。
沢山のお花と、使い切れないくらいの線香が届いて
ちょっとビックリだったよ。
父の一周忌に
初盆が終わると直に親父の一周忌だ。
本当に息をつく暇もないほどに続いたね。
子ども達も帰って来てくれて助けてくれたよ。
思えば、1年前には、まだ君は元気でいてくれて
僕を助けてくれたんだよね。遠い昔のようだ。
義父さんのこと
義父さんのことも言っておかないといけないね。
義父さんは君の49日が終わった頃から
体調を崩して入院してね、
肺がんも進行して辛そうだった。
でも、100歳の誕生日にはみんなが病院に集まって
お祝いをしてくれたよ。
初盆
初盆は13日からだけど
10日頃からお参りの方々が増え始めた。
時間もバラバラで、待機する時間の長さに
子ども達も疲れていたみたいだった。
早朝から夜まで、一日が終わる頃になって
やっと自分たちの時間が取れたかな
君の誕生日に
君の誕生日だった日には、みんなが家に集まってくれて
ホームパーティーを開いたんだよ。
君の同級生のKさんも来てくれ、歌を歌ってくれたよ。
聞こえたかな?
みんなで君の事を話しながら時間を過ごしたんだ。
楽しい時間だった。
メモリアルリング
そんな言葉があるかどうか知らない。
ある日仏壇に向かっていた時に君の残した結婚指輪が目に入った。
僕の薬指にも結婚指輪が。ふっと思った。
この二つの指輪を一つにしようと。
今僕の指には一つになった二人の指輪がある。
法要
君も父の法要で経験したと思うけど、
浄土宗では七日七日の法要に加えて、初命日、55日、100ヶ日と
息つく暇がないように続く。
でも、その法要に追われている時は淋しさが薄れていて
一緒にお経を読む時には心にはただ君だけがいた様な気がする。
結婚記念日
100ヶ日が終わると、君との結婚記念日が直ぐそこにあった。
1年前に君と言ったレストラン、君と結婚を決めたレストランで
君と食べたメニューを注文したけど、マスターから
「奥様は今日は一緒ではないのですか」と聞かれて
どうしようもない淋しさに襲われて、涙を流しながら食事をしたよ。
葬儀
昨夜からの雪は朝早くには止んで、
葬儀が始まる頃には日も照ってきて、行きも溶けたのでホッとしたよ。
沢山の花と友だちに見送られて君には最後のドライブになったね。
耳の奥に、スピッツの「楓」がリピートされて響いた。
感謝
本当に多くの人が君を見送りに来てくれたよね。
今でも君の事を思って訪ねてくれる人がいる。
君は多くの人の心にしっかりと生きているんだね。
僕はそのことに感謝するしかない。
君に代わって「ありがとう」としか言えないよ。
息子の帰宅
夜の12時過ぎに息子は帰って来た。
無言で君の前で手を合わせていたよ。
何も言わなかったけど、本当に辛い帰宅だったと思う。
何かを話したと思うけど、よく覚えていない。
君と僕と子ども達だけの最後の夜だった。
君の願い
君が子どもに託した最後の願いは
息子には君を送る曲の選曲と編集。
娘には君の棺に入れる服の選択。
僕に託されたのは・・二人だけの秘密だね。
でも、安心して下さい、君の願いはちゃんと守られたよ。
荷物
40日を越える入院で、いつの間にか荷物も増えていたね。
娘と二人で車に積み込むのに何度も往復したよ。
そんな時にYさんが駆けつけて来てくれたよ。
Yさんの顔を見た時に始めて涙があふれ出してしまった。
Yさんも大泣きしていたよ。
無言の帰宅
君は夜の9時過ぎに自宅に帰って来た。
リビングの正面に君の場所を作ったよ、驚いたかな。
君は安らかで、本当に眠っているような顔をしていたね。
声をかけたら目を覚ましそうな君だった。
事務的に
そして死という事実が決まった以上はどうしようもなく、
いろんな事が事務的に進んでいくんだね。
判ってはいるんだ、そうしなきゃ何も先に進まないってこと。
しかも僕がしなきゃいけないんだ。
辛い現実だね。
悲しみの波紋
君の死は親戚、友人にも伝えなければならない。
何処かに冷静な自分がいてしっかりと指示を出している。
電話をして君の死を告げる時
うそでしょ、どうして・・と皆が泣いてくれたよ。
本当に、みんなが君の事を好きだったんだね。