りんどうの会~がん患者遺族の会・佐賀~

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レクイエム

妻に捧げるレクイエム=27=

2014/02/28

父の死

誤嚥が原因で肺炎を起こしていた父が

9月19日午前5時過ぎに85歳で急逝した。

通夜、葬儀、法要と本当に君は尽くしてくれた。

でも、この事が君の寿命を縮めたのじゃないかな。

父の百ヶ日の日には、君は緩和ケアにいた。

 

寒い冬

ごくの誕生日が終わる頃から気温が急激に下がり始めた。

寒さに弱い君は体力が落ち始め、

ほとんど寝ている状態になってきた。

医師からも緩和ケアへの入院を考えるように言われ

緩和ケア病棟へ手続きに行ってきたね。

妻に捧げるレクイエム=26=

2014/02/25

腫瘍マーカー

定期検診でやっぱり気になるのは腫瘍マーカー。

個人差があるから数値は参考にはならないといわれても

やっぱり気になるよね。

検査ごとに数値は上昇していったけど

そのカーブが緩やかだったことが救いだったのかな。

 

普段の生活

腫瘍マーカーの数値は徐々に上昇していったけど、

君の普段の生活には変化はなかった。

普通に食べ、普通に歩き、

本当に抗がん剤を止めて良かったと思える日々だったよね。

こんな生活がもっと続いてくれることを願っていたよ。

妻に捧げるレクイエム=25=

2014/02/22

珈琲カップ

その旅先で偶然に立ち寄った窯元で、湯呑みを2個もらったね。

後日、その窯元の個展で珈琲カップを買い求めたけど

今では、特別の時だけ使っているよ。

君との思い出が詰まりすぎているカップだから

大事に使っているよ。

 

定期検診

抗がん剤を止めてからも

4週間ごとに外科と腫瘍内科の検査は続いていたね。

血液検査での腫瘍マーカーのチェックと対処療法だけ。

でも、僕は必ず君と一緒に検査の結果を聞いて

一緒にお昼ご飯を食べると決めたんだ。

妻に捧げるレクイエム=24=

2014/02/19

君の誕生日

君の59歳の誕生日、最後の誕生日。

カラオケに行ったような記憶があるけど。

身体は元気でも、

この頃から声を張り上げることがきつくなり始めて

もしかしたらこの日が最後のカラオケだったかもしれないね。

もう一度一緒に歌いたいな。

 

最後の旅行へ

君との最後の旅行は7月だった。

君が当てた武雄温泉宿泊券。

その昔、天皇陛下がお泊まりになったという部屋に泊まったね。

きっと神様のプレゼントだったんだよね。

玄関先でのツーショット。

その時の写真が今でも僕の傍にあるよ。

 

IMG_0029

妻に捧げるレクイエム=23=

2014/02/16

いつも一緒に

春も過ぎる頃には、

髪の毛を除くとほとんど元の状態に戻っていた。

一緒にいろんな所に出掛けたね。

買物、食事、映画、カラオケと。

君と一緒の時間を何よりも大切にすると決めたんだ。

 

一人旅行

5月になると以前から行きたがっていた京都にも行ったね。

結婚して初めての君だけの旅行だった。

娘とも友だちともゆっくりとした時間が取れたと

君は言っていたね。

でもね、

一人で留守番している僕は、少し寂しかったたんだ。

妻に捧げるレクイエム=22=

2014/02/13

抗がん剤よさらば

平成22年2月18日が最後の抗がん剤治療だったね。

肺と肝臓にガンがある以上は

死に向かって歩き出した日でもあったね。

でも何処かにホッとした気持ちがあったのも確かだった。

君はこの日から344日間を生き抜いた。

 

セカンドオピニオン

この頃に放射線治療の情報を得て

セカンドオピニオンとして熊本の放射線病院に行ったね。

長い時間待たされた後で、結局は君のガンには効果が期待出来ないと言われ

わずかな希望も消えてしまった。

菜の花が咲いていたね。

妻に捧げるレクイエム=21=

2014/02/10

人は何時か死ぬ(独り言)

がん患者とその家族にとって一番辛いのは、迫り来る死との闘いです。

死ぬ事への恐怖や、生きる事へのこだわりが、心を暗くしていきます。

人は何時か死ぬんだ。

その思いに達して死を恐れない事が、ガンとの闘いに勝つ最後の手段でした。

そして、この場合の勝ちは、生きる事ではなく生き抜く事だと気づかされました。

 

生き抜く事と一言で言っても、現実には難しい事です。

何をすればいいのか、何が生き抜く事なのか、その答えは人それぞれに違います。

私は、妻の思いの通りに生きてみようと思いました。

私はサポートする事しか出来ませんから、

妻がしたい事、やってみたい事を援助するしかありません。

 

普通の生活をしたいという妻の切実な思いに応える事にしました。

その為には、これ以上抗がん剤による治療を続ける事は出来ないと思いました。

別の抗がん剤と言う選択肢もあったのですが、

全ての治療を止めて、普通の生活に戻る決心を妻はしたのだと思います。

美味しいものを食べて美味しいと感じたい、その思いが一番強かったようです。

 

今でも、この時に抗がん剤を止めた事を後悔していません。

その事は、この後に書き綴っていきますが、残りの日々を妻は精一杯生きてくれました。

妻に捧げるレクイエム=20=

2014/02/07

何のために

この頃から抗がん剤治療を続けるかを迷い始めたと思うよ。

味のしない食事、触れただけで痛い指先、治らない口内炎。

ガンに負ける前に副作用に負けてしまいそう。

なんのために頑張っているのか判らないと

君は言ったね。

 

情報が少ない

抗がん剤を止めようとして、

その後の生き方の情報を集めていて驚いた。

助かった話しや民間療法の情報はあふれているのに

死に向かう事を選択する情報の少なさ。

そんな状況の中で、抗がん剤治療を止める決心をしたね。

妻に捧げるレクイエム=19=

2014/02/04

副作用との闘い

投与の期間が長くなるにつれて、副作用は君に襲いかかってきた。

口内炎、手指の荒れ、脱毛。

一番君が苦しんだのは味覚障害だった。

臭覚は正常なのに、口に入れると味がしないという。

食事を怖がって栄養補助食品でまかなったね。

 

ある医師の言葉

君は別の病気でも以前から定期的に診察を受けていた。

そこの医師が君に言った言葉は、

「抗がん剤を続けて風邪を引いて死ぬか

 抗がん剤を止めてガンで死ぬか

 何時か人は死ぬんだよ

 どっちが良いかよく考えてごらん」

妻に捧げるレクイエム=18=

2014/02/01

再び抗がん剤の日

再び抗がん剤との闘いだね。

君も続ける覚悟を決めて、カツラも調達し

長期戦に臨む体制を整えた。

今回は投与する時には入院したので

2週間ごとの送り迎えとユリの散歩が

僕の一番の仕事になった

君は頑張ったよ。

 

朝の散歩で

君が入院するたびに、朝の散歩は

君の病室から見える道を必ず歩いたよね。

君は病室から手を振ってくれたね。

なんとか君を励ましたいけど

他に僕が出来ることが見えなくて

少しは役に立っていたのかな。

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