2014年4月
4月, 2014年
妻に捧げるレクイエム=47=
2014/04/29秋風
親父の一周忌が終わると、お寺関連の行事も一段落して
少しほっとした気分になった。
しかし、そろそろ秋風が吹き出す頃から
義父さんの容体が日一日と悪くなり始めた。
義父さんの死
車椅子バスケット大会が終わっての帰り道で
義父さんが入院している病院から電話があった。
兎に角病院に駆けつけたけど、お父さんは苦しそうだった。
親戚の方々も帰った午後8時47分に
義父さんは僕と病院の方に見守られて、君の所に旅たった。
妻の手帳
2014/04/26書類の整理をしていたら妻の手帳が出て来ました。
その手帳がある事は知っていましたし、末尾の住所録は数回見ました。
その手帳は2009年の手帳で、2回目の抗がん剤治療をした年です。
改めて開いてみて・・・驚きました
ほとんど予定の書き込みがなく、白紙のページがほとんどでした。
病院のごたごたもあって、外科診察がなされない時期が続き
相当な期間の後に検査をした所、肺への転移が見つかった頃から
書き込みがなされていません。
妻の心の動きが見えて来るようで、白いページがとても辛く目に映りました。
妻に捧げるレクイエム=46=
2014/04/26初盆
初盆は、君と親父と二人分を一緒にしなければならなかった。
でも、圧倒的に君へのお参りが多かったかな。
親父には悪かったけどそう思ったよ。
沢山のお花と、使い切れないくらいの線香が届いて
ちょっとビックリだったよ。
父の一周忌に
初盆が終わると直に親父の一周忌だ。
本当に息をつく暇もないほどに続いたね。
子ども達も帰って来てくれて助けてくれたよ。
思えば、1年前には、まだ君は元気でいてくれて
僕を助けてくれたんだよね。遠い昔のようだ。
妻に捧げるレクイエム=45=
2014/04/23義父さんのこと
義父さんのことも言っておかないといけないね。
義父さんは君の49日が終わった頃から
体調を崩して入院してね、
肺がんも進行して辛そうだった。
でも、100歳の誕生日にはみんなが病院に集まって
お祝いをしてくれたよ。
初盆
初盆は13日からだけど
10日頃からお参りの方々が増え始めた。
時間もバラバラで、待機する時間の長さに
子ども達も疲れていたみたいだった。
早朝から夜まで、一日が終わる頃になって
やっと自分たちの時間が取れたかな
妻に捧げるレクイエム=44=
2014/04/20君の誕生日に
君の誕生日だった日には、みんなが家に集まってくれて
ホームパーティーを開いたんだよ。
君の同級生のKさんも来てくれ、歌を歌ってくれたよ。
聞こえたかな?
みんなで君の事を話しながら時間を過ごしたんだ。
楽しい時間だった。
メモリアルリング
そんな言葉があるかどうか知らない。
ある日仏壇に向かっていた時に君の残した結婚指輪が目に入った。
僕の薬指にも結婚指輪が。ふっと思った。
この二つの指輪を一つにしようと。
今僕の指には一つになった二人の指輪がある。
妻に捧げるレクイエム=43=
2014/04/17法要
君も父の法要で経験したと思うけど、
浄土宗では七日七日の法要に加えて、初命日、55日、100ヶ日と
息つく暇がないように続く。
でも、その法要に追われている時は淋しさが薄れていて
一緒にお経を読む時には心にはただ君だけがいた様な気がする。
結婚記念日
100ヶ日が終わると、君との結婚記念日が直ぐそこにあった。
1年前に君と言ったレストラン、君と結婚を決めたレストランで
君と食べたメニューを注文したけど、マスターから
「奥様は今日は一緒ではないのですか」と聞かれて
どうしようもない淋しさに襲われて、涙を流しながら食事をしたよ。
妻に捧げるレクイエム=42=
2014/04/14葬儀
昨夜からの雪は朝早くには止んで、
葬儀が始まる頃には日も照ってきて、行きも溶けたのでホッとしたよ。
沢山の花と友だちに見送られて君には最後のドライブになったね。
耳の奥に、スピッツの「楓」がリピートされて響いた。
感謝
本当に多くの人が君を見送りに来てくれたよね。
今でも君の事を思って訪ねてくれる人がいる。
君は多くの人の心にしっかりと生きているんだね。
僕はそのことに感謝するしかない。
君に代わって「ありがとう」としか言えないよ。
妻に捧げるレクイエム=41=
2014/04/11家を出る時
君は2日間を自宅で過ごした。
何も語らないけど、そこに君がいるというだけで
淋しさや悲しさが違った形に見えていた。
子ども達も君を見つめながら何かを語りかけていたと思う。
君が家を出る時、僕は何を感じていたのだろうか。
通夜
君の通夜は一面の雪景色。
しんしんと降り続く雪の中にも拘らず、多くの人が来てくれたよ。
息子が編集してくれたスピッツの曲を流しながら
静かに静かに過ぎていったよ。
きっと君も何処かで聞いていてくれたよね。
妻に捧げるレクイエム=40=
2014/04/08息子の帰宅
夜の12時過ぎに息子は帰って来た。
無言で君の前で手を合わせていたよ。
何も言わなかったけど、本当に辛い帰宅だったと思う。
何かを話したと思うけど、よく覚えていない。
君と僕と子ども達だけの最後の夜だった。
君の願い
君が子どもに託した最後の願いは
息子には君を送る曲の選曲と編集。
娘には君の棺に入れる服の選択。
僕に託されたのは・・二人だけの秘密だね。
でも、安心して下さい、君の願いはちゃんと守られたよ。
妻に捧げるレクイエム=39=
2014/04/05荷物
40日を越える入院で、いつの間にか荷物も増えていたね。
娘と二人で車に積み込むのに何度も往復したよ。
そんな時にYさんが駆けつけて来てくれたよ。
Yさんの顔を見た時に始めて涙があふれ出してしまった。
Yさんも大泣きしていたよ。
無言の帰宅
君は夜の9時過ぎに自宅に帰って来た。
リビングの正面に君の場所を作ったよ、驚いたかな。
君は安らかで、本当に眠っているような顔をしていたね。
声をかけたら目を覚ましそうな君だった。