2019年3月
3月 13th, 2019年
夫との思いを胸にアメリカ
2019/03/132018年の年末から正月休暇はアメリカ、ワシントン州に住む妹の所へ行って来ました。
西海岸はオレゴン州、ポートランドに近くアメリカ人の夫と子どもと暮らして23年経ちます。
結婚式へは私、夫、娘達に父母と揃って成田空港から直行便で行きました。
妹は1〜2年に1回は帰国し会いに来てくれますが、私は訪れる機会がないまま、特に夫のマイケルとはもう、20年以上会ってなかった。
今回、23年振りに渡米する事になり、末娘が同行してくれました。
チケットの手配からフライトを組むのを娘に頼み、付いて行くだけの お上りさんでありました。
乗り継ぎのサンフランシスコ空港に降りたのは29日の夜でした。
クリスマス飾りが残る中、様々な人種が行き交いアメリカに来たのだなぁと実感が沸いてきました。
妹が待っている ポートランド空港まで2時間…期待と嬉しさで長旅の疲れや眠気は感じませんでした。
23年…様々な事がありました。
妹の夫マイケルは優しい気遣いが出来る陽気でフレンドリーなアメリカン。
結婚を申し込む時に私の家族、特に大正生まれの父には、理解を得ようと時間をかけ苦労した様です。
日本の夏は暑く苦手でも暫く滞在していたのを覚えています。
そんな父も結婚式では笑顔を見せて嬉しそうでした。
外国へ嫁いで行った娘をどんなに案じていたか、でも病に伏せてしまい15年前に79歳で生涯を閉じました。
言葉少なかった父ですが、子を想う気持ちは一緒だったと思います。
私の夫も旅立ってから今年9月で10年が経ちます。
闘病は5年でしたから夫に向き合う事が多く、娘達には寂しい思いをさせたのではないかと今でも申し訳ない気持ちになります。
母は今年の9月で88歳 米寿を迎えます。
高齢となり介護を必要としていますが穏やかに暮らしています。
81歳まで重いリュックを背負い独り、妹の所へ行っていた姿が忘れられない。
遠い地へ嫁いで行った我が子に会いたい一心だったと思います。
今になって私はその気持ちがよく分かります。
そんな母が「アメリカへ行って来んさい」と、背中を押してくれました。
親類や友人、猫シッターのおかげで私は妹とマイケルの家へ23年振りに…
そんな感慨に耽っていました。
「まもなくポートランド空港に到着します」とアナウンスがあり…急に胸が熱く いっぱいになってきて、涙が込み上げてきては堪え切れなくなりました。
これまでの様々な事が思い出されて来て…隣に夫が居ない寂しさ、一緒にマイケルと再会したかった。
当時、泣いて困らせた娘は頼もしく成長した。
再会が叶わなくなったアメリカの親類の顔も浮かんで来て…心の奥に閉まっていた想いが溢れてきました。
ふと、窓際にいた女性と目が合いました。
女性は私を見つめたまま とても優しい微笑みを返してくれました。
まるで私の気持ちを察してくれているかの様な表情で思わず胸が熱くなり…また、女性の懐には小さな犬が抱かれていたのです。
フライトの間 鳴き声もなく安心しきって甘えていました。
大らかなアメリカという国、人を肌で感じたひと時でした。
そして…到着ゲートが見えてくると 妹、マイケル、子ども達全員が来てくれていて、手を大きく振っている姿がありました。
涙、涙の再会でした。本当に来て良かった!思い切って来て良かった!
感謝の気持ちでいっぱいでした。
平成31年3月 岩永淳子